月11万円超の賃上げが可能?2015年01月08日

今日のしんぶん「赤旗」に「内部留保ふやすのやめれば 月11万円超賃上げ可」との、昨日発表された労働運動総合研究所(労働総研)の春闘提言の記事が掲載されていました。今までは、内部留保のほんの一部を取り崩せば、月1万円程度の賃上げは可能だとしていたのですから、ちょっと驚きでした。

さっそくホームページから本文を取り寄せ読んでみました。その中には「現在も内部留保は依然として増え続けており、1年間に42,8兆円も増加した。過去に蓄積された内部留保を取り崩さなくても、この原資を活用すれば、役員配当および株主配当を同率で引き上げたとして、1ヶ月11万円の賃上げが可能である」との分析がされており、大企業中心に積み増しされている内部留保がいかに大きなお金なのかと改めて感じました。

さらに提言では今年の春闘要求について「2014年の賃金上昇率は1,4%であり、消費税増税分3%の影響がカバーされていない。物価上昇と税・社会保障等の負担増から生活を防衛するためには、2015年春闘において、少なくとも6,0%18千円以上の賃上げが必要である」と、要求の正当性も示しています。デフレからの脱却についても「賃上げ、労働条件の改善は企業に負担増をもたらすが、家計消費需要の拡大によって国内生産が誘発され、回りまわって企業の生産活動も活発にする」そうすれば「GDP24,3兆円、税収が4,2兆円増えることが分かった」と、大企業応援のアベノミクスではなく、国民のふところをあたためる事こそが経済の好循環につながることも力説されていました。

働く人たちの実質賃金は16ヶ月連続でマイナスとなっており、その結果いまどうなっているのか、もう一つ衝撃的な報道がありました。昨年1225日、内閣府が発表した「平成25年度国民経済計算確報」という経済指標です。驚いたのは家計貯蓄の項目です。2013年は家計の所得や年金の受け取りから、家計の消費支出を引いたものが、マイナス3,7兆円であり、家計貯蓄もマイナス1,3%になっているというのです。ですから貯蓄を取り崩しながら生活するしかなくなってきているということを示しています。これは統計を取り始めた1955年・昭和30年以来初めてのことだというんですから、終戦直後の水準なのかと思わせるような事態になっていると言うことです。

しかもこの統計は2013年のものなのです。昨年・20144月の消費税増税後は、家計消費も実質賃金もさらに深刻な落ち込みを示しているのですから、国民の暮らしがいっそう追い詰められてきているのは明らかです。

「この道しかない」と豪語してはばからない安倍首相に対し、「大企業を肥え太らすだけのアベノミクスは中止を」との国民総反撃の運動を展開するときであり、安倍内閣打倒の声を大きく広げよう。