県議会、常任委員会開催2014年10月09日

今日は県議会の県土整備常任委員会が開催されました。今回、県土整備常任委員会に付託されたのは、議案7件、請願1件です。

 特徴的なのは、労務単価の引き上げなどで、一度発注した工事の増額による契約変更の議案が、4件も審議されたことです。内容は、外環道の整備に伴って、市川市内で建設されている妙典橋の工事が2件、千葉市千城台で行われている県営住宅の工事、江戸川第一終末処理場の土木工事などです。

 昨年来2度に渡って、設計労務単価の引き上げが行われました。この引き上げは当然であり、私たちも大賛成です。しかし問題は、本会議でも取り上げましたが、引き上げられた労務単価が、2次、3次の下請で働く労働者のところまで行き渡っているかどうかです。

 引き上げられた労務単価が、下請契約に含まれているのか、県はどこでチェックをしているのかと質問をしましたが、道路担当課も住宅課も「下請契約での労務単価は把握していない」「下請で労務費がどうなっているのかはわからない」ときわめて無責任な答弁でした。

県当局はこれまでどおり「設計労務単価は工事費の積算に用いられるもので、下請等の労務費を拘束するものではない」「賃金は労働者と使用者の合意によって決まる」との答弁をくりかえすだけでした。しかし、「下請の労務費を拘束するものではない」と工事発注者の県が言い切ってしまうということは、下請の労働者がどんなに低賃金でも、どんなに抑え込まれていようとも、関知しませんということのなるではありませんか。

 私はこの間、県の工事現場を訪問して、直接、そこで働いている職人さんから聞いた現場の実態を突きつけました。「鉄筋工の設計労務単価は24,400円、これで積算されているのに、現場では1日・12,000円で働いていた人がいた。この実態をどう受け止めるのか」と。県は「下請で雇われている個人の賃金は、雇主との合意事項なので」コメントできないという、まさに他人事という答弁でした。

 私は、現場に出向いて、働いている職人さんから賃金水準のことなど、直接話を聞いたことがあるのかと質問しましたが、「現場には行っていない。実態調査等で経営者から話を聞いている」との答弁。これでは労働者の処遇改善など進むはずはない、やっぱり現場の実態調査を実施させなければと強く感じました。

 今度の議会に、首都高速道路㈱が、料金徴収期間を15年延長することに県として同意するかどうかという議案が上程されています。首都高は1964年の東京オリンピックまでに約33kmを開通させ、現在は、総延長301kmを維持管理しています。今後10年後には、経過年数が50年を超える道路構造物が全体の30%以上に増大し、大規模な更新や修繕が必要になり、その費用は6,300億円に達するとしています。そのために現在の債務償還期間が終了するH62以降も、15年間料金を取り続け、その費用に当てようとするものです。

 道路関係4公団が民営化されたのは、H17,2003年でした。このときには、民営化から45年後、H62年には、債務償還が完了するので、「無料開放」するとしていたのです。時が経過すれば、施設や構造物は当然、劣化し損傷も大きくなるのがわかっていたのに、なぜいまという疑問がわいてきます。民営化当時の債務償還計画には、大規模更新・修繕費用は含めず、当時の借金の返済とその後の新規高速道路建設のための債務償還しか組み込まなかったのです。新規の高速道路建設を野放しで拡大するための計画だったといえます。

 新たな巨大道路・高速道路の建設よりも、いまある高速道路の老朽化対策や維持管理・更新費用こそ優先させるべきだったのです。結局、巨大道路最優先のやり方で、そのツケは国民負担にしわ寄せされる、こんなやり方は認められません。この議案には反対しました。

 県土整備常任委員会に付託された請願は、全建総連千葉県連合会、東京建設従業員組合、千葉土建労働組合などで結成された、「建設労働者の賃金・単価大幅引き上げ・法定福利費確保を求める千葉県実行委員会」によって提出された「建設産業の再生を求める請願書」でした。内容は先に審議したものと同様で、設計労務単価が全ての建設労働者の大幅賃上げに繋がるような具体的施策を求めるものです。

 請願者の願意に沿って、県当局の認識を一つひとつ確認。H9年以降、全国では117万人も建設労働者が減少してきているなかで、請願にあるように、適切な労働条件・賃金水準の確保の必要性については、「若い人が入職しない、高齢化が進む中で、優良な公共工事を進めるためにも重要な課題」と県も認めました。

 しかし、請願に賛成したのは、共産党と民主党のみ、自民・公明・みんなの党の反対で、4項目すべて否決されました。公明党は、請願提出者である実行委員会が主催した集会に出席し、激励のあいさつをしていたにもかかわらず、議会では否決に回る、こんな県民を愚弄する態度は許されるものではありません。