6月議会終了2014年07月06日

 4日、県議会最終日、私は議案・請願への反対討論を行いました。岡田県議が集団的自衛権行使容認の撤回を求める意見書の趣旨説明を格調高く行い、日本共産党の県議会における存在意義を十二分に示す最終日の本会議となりました。以下、反対討論の原稿です。

日本共産党を代表し、議案、請願の主なものについて討論を行います。

 議案第一号は、警察職員が遠隔地での水上警戒作業にあたる際の手当を新設しようとするものです。具体的には、警察法60条、援助の要求にもとづき、沖縄県警からの要請で、警察職員を派遣し、尖閣諸島周辺海域の水上警戒作業にあたらせようというものです。千葉県の警察官が、はるか尖閣諸島まで出かけていく、これは一体どういうことか。

 国は、一昨年、尖閣諸島周辺での漁船衝突事件などを受けて、領海警備に当たる海上保安庁の権限や体制を強化する法改正を行いました。その結果、これまでは海上のみに限定されていた海上保安官の警察権限が、今後、遠方の離島の陸上などでも、捜査、逮捕権を認めるまでに拡大され、これによって日本の領海内に停泊している不審な船舶などに対し立入調査なしでも退去命令ができるものとされました。

 であるならば、国の責任で海上保安庁の体制を整備し、遠方離島などの警戒警備に当たるのが本来のあり方であり、本議案には賛成できません。

 議案第二号は、地方法人税の創設に伴い、法人県民税法人税割の税率を1,8%引き下げようとするものです。消費税増税により、地域間の税源の偏在が拡大することを理由に、法人住民税2,3兆円のうち、6000億円を新たに創設する地方法人税として国が取り上げ、地方交付税の原資として、交付税で配分し調整しようとするものです。

 これによる千葉県への影響はどうなるか。今回の税率引き下げによる法人県民税の減収は年70億円。国税である地方法人特別税の縮小による法人事業税の増収分が229億円。さらに地方法人特別譲与税の規模縮小に伴う減収が273億円にのぼり、差し引き、114億円もの減収になることが明らかとなりました。

 本来、地方交付税は、所得税や法人税など、国税5税の一定割合を財源にすることとされています。財源の不足はその割合を引き上げて対応すべきであり、国の責任放棄ともいうべきやり方を認めるわけにはいきません。 

 議案第6号は、統廃合した大原高校、岬高校、勝浦若潮高校の名称を、大原高校に変更しようとするものです。

 夷隅地域の3校の統廃合は、自治体ぐるみ、地域ぐるみで撤回、存続を求める声が広がり、いすみ市の人口の約半数、3万8千を超える規模まで署名が積み上げられましたが、県教委は、その声を踏みにじり3校の統廃合を強行しました。

 これまでも、わが党は実習施設を伴う専門高校の統廃合の問題点をその都度指摘してきました。しかし今回、また同じことが繰り返されようとしています。来年4月開校だと言うのに、目玉としてきた総合学科の実習棟も大講義室も未整備なままのスタートにならざるをえません。さらに20キロメートルも離れた校舎間移動など、結局、強引な統廃合のしわ寄せが生徒たちに押し付けられることになるではありませんか。「歳出減らし」「高校つぶし」の、県立高校統廃合は見直すべきです。よって本議案に反対いたします。

 議案第11号は、自動車取得税率引き下げの専決処分の承認を求めるものです。消費税増税に伴って、自動車取得税の税率を、自家用車は5%から3%へ、営業車や軽自動車は3%から2%へ引き下げようとするものです。さらに消費税率10%への引き上げ時には、取得税そのものを廃止するとしています。一方、その代替財源として、来年度以降、軽自動車税を自家用車は1,5倍、自家用貨物車は1,25倍に引き上げるとしています。

 自動車取得税率引き下げによって、県で13億円、市町村で27億円、あわせて40億円もの減収になります。一方、軽自動車税率の引き上げで、市町村にもたらされる新たな財源は、年8億円程度。とても減収の穴埋めにはなりません。消費税増税でも自動車だけは売れるようにと、税率を下げ、その穴埋めをユーザーに押し付け、しかも地方財政を逼迫させる、こんな自動車業界言いなりの税制改正は、断じて認めるわけにはいきません。

 次に請願についてです、請願第91号は、重度心身障害者(児)の医療費助成制度の自己負担なしの窓口無料化の実施と、特別支援学校の過密化解消を求めるものです。

 県は重度心身障害者の医療費助成の現物給付を、来年8月から実施すると表明しました。

現物給付は、わが党も一貫して求めてきたことであり、障害者のみなさんの20年越し

の運動が実ったものです、

しかしその制度改善に水をさす二つの大問題があります。一つは自己負担です。通院1回300円、入院一日300円の一部負担金を導入しようとしています。常任委員会で、その総額が年5億円にものぼることを認めました。現行の制度では全額助成されていたのですから、重度障害者に新たな重い負担が課せられることになります。

もう一つの問題は、65歳以上で新たに重度障害になった人は対象にしないという、年齢制限です。常任委員会で、昨年度、新たに重度障害になった人のうち65歳以上の方は約6割にも上ることが明らかになりました。これは明らかに高齢者に対する差別であり、高齢者を排除することは許されません。願意をくみとり本請願を採択すべきです。

請願第92号、95号は、消費税増税の撤回と、さらなる増税の中止を求めるものです。

5月の勤労統計調査によると、物価変動を考慮した実質賃金は11ヶ月連続で前年同月を下回り、3,6%の大幅減、3,4月と比べても落ち込みはさらに拡大し、いっそうくらしを追い詰めています。

 消費税増税は社会保障のためとの口実も、医療・介護の大改悪を盛り込んだ、医療介護総合法が通常国会で強行されるなど、その根拠が足元から崩れ去っています。

 その一方で、安倍政権の新成長戦略、骨太の方針には、法人実効税率を20%台まで引き下げることを明記し、来年の消費税の再増税も予定されています。

 社会保障のためと言って消費税を増税したのに、社会保障の拡充には回さず、一方で法人税の減税に走り出し、その財源は社会保障の削減と消費税増税で賄う、こんなでたらめな政治があるでしょうか。消費税増税と不公平拡大の大企業減税はやめるべきです。国民の所得を増やして経済を成長させるとともに、応能負担を原則に税制を抜本的に改革すべきことを申し添え、本請願の採択を求め、討論を終わります。