八ツ場ダム建設の現場を歩く2014年07月16日

昨日・15日は、工事が進められている八ツ場ダム建設の予定地、長野原町の現況を調査してきました。現地視察を企画したのは、超党派で作られている「八ツ場ダムを考える1都5県議会議員の会」です。マイクロバスで移動しながら現地での説明を主に担当してくれたのは、「八ツ場あしたの会」の渡辺洋子事務局長と、共産党の伊藤ゆうじ群馬県議でした。

 高崎駅から、吾妻線で1時間20分、川原湯温泉駅前集合でスタートとなりました。集まったのは総勢22人で、東京、埼玉、千葉、群馬、栃木の議員たちと、国会から塩川鉄也衆院議員、吉良よし子参院議員も参加し、終日現地の調査を行いました。

 スタート前の川原湯温泉駅前には、現地に住んでいる高山さんが来てくれてあいさつ。高山さんは「旧国道は閉鎖しないでほしいと国交省に要望している」「水没地帯からはもうすでに7~8割出て行ってしまっている」「とにかく言いたいのは『村が壊されたと言うこと』」「10年前に完成していれば、まだ村は残されていたのに…」「町も国も納得のいく説明をしてほしいということだ」と語気を強めました。

 川原湯温泉駅前の吉良参院議員と塩川衆院議員

 まず旧川原湯温泉街へ。もうほとんどの旅館は取り壊され、跡地には土台だけが残されていました。共同浴場として親しまれていた、川原湯の源泉「王湯」は6月30日に閉館。

 わかりますか、今でも硫黄の匂いがする源泉が沸いています。

 建設中の「新駅」です。10月1日から付替鉄道の開通が予定されています。しかしダム湖が満水の時には、写真右の緑地のところまで水が満たされます…線路は水没しないのだろうか?

 打越代替地の一番外れです。水を抜いて吾妻川に流しています

 そのすぐ脇に「道路工事」の看板が。吾妻渓谷につくるダムサイトをつくる工事用車両搬入用の道路整備のため、急ピッチで山を削っていました。

 吾妻渓谷の八ツ場ダム建設予定地

 松谷水力発電所から流れる水流。八ツ場ダムが出来ると、ダムに水を貯めるために水力発電所に送られていた水の大半を吾妻川に戻さなければならず、発電量が大幅に減少するとのこと、そのために東京電力に200億円もの補償金を支払うというのです。本末転倒、何のためのダムなの?

 現在の川原湯温泉駅の真上に見える、一号橋の建設

 一号橋の横、茶色に見えるいくつかの戸建住宅が「クライングルテン」。宿泊施設つき都市住民向けの農園だそうで、しかし40mも盛土した上に作られている建物で、本当に大丈夫なの?

西宮・東宮遺跡発掘現場の看板。1783年、浅間山が噴火し、山麓から高速で流下した土石流が吾妻川になだれ込んで、さらに周辺の集落をも埋め尽くし、1500人の死者を出しました。当時の住居跡などの遺跡の調査している場所です。

 群馬県埋蔵文化財調査事業団の方から説明を聞く

 西宮遺跡の発掘調査をしている現場

 写真の電柱の黒いところまで土砂に埋まっていました

 林地区の地すべり地帯で、地すべり計測システムなど、伊藤県議の説明を聞く

旧「やんば館」は閉館し、道の駅に移動していました。

新しく発覚した問題、鉄鋼スラグです。代替地の地盤整備などに、フッ素や六価クロムを含む鉄鋼スラグが使われていることが新たな問題として浮かび上がってきました。これを除去するとしたら大変な作業量になります。

 八ツ場ダム建設は、昨年、民主党政権が事業ストップをかけたことを理由に、事業期間を4年間延長し、平成31年度完了と計画変更を行ないました。しかし今回進捗状況を見て、計画年度内完成は到底無理であると同時に、現在も手付かずの4600億円の事業費の増額変更、積み増しが必至であると感じました。そうすれば当然、千葉県のさらなる負担金も要求されてきます。こまでも指摘してきたことですが、八ツ場ダムが治水利水の両面で本当にいま必要なのか、根本からの検証が必要だという思いをさらに強くしました。「一度始まったら止まらない」公共事業のあり方そのものを見直す時にきているのではないだろうか。

 

今日・16日の気温。柏駅西口、りそな銀行の温度計、12時、すでに32度に達していました。午後4時前には、35度を記録、とにかく暑い。